タイムカプセル社で印象に残ったフレーズ 2 つ

新作読んだ.喜多川泰の本の世界観,うまく言葉にできないけど毎回ホント好き.

株式会社タイムカプセル社 十年前からやってきた使者

株式会社タイムカプセル社 十年前からやってきた使者

世間からの風当たりが強いと感じた時に,怖くなって,萎縮してしまって,縮こまって,どこかに隠れたくなるのは,人間だから当然だと思う.だけど,向かい風が強ければ強いほど,翼を広げれば空に飛び立てるんだ.だから勇気をもって翼を広げてみなよ.怖がることはない.経験したことがないほど強い向かい風は,今いる場所から一気に飛べって合図だ.ほら翼を広げてごらんよ,空姉.今までは追い風だった.でも追い風では翼があっても空は飛べないんだよ.これはピンチじゃない.絶対にチャンスの風だ.

そしたら,先生が言ったんです.「生まれてきたときよりも,いい社会にして死にたいからだ」って.キザな台詞だったんですけど,僕はかっこいいと思ったんです.小学校のときから,学校の先生は,遠足に行くたびに「来たときよりも美しく」って言って,遠足で使った場所を子どもたちに掃除させるんです.

PASS -なぜ LOD を用いたアプリを作ったのか-

先日,PASS という LOD (Linked Open Data) を用いたアプリをリリースした.

PASS は,鳥取県が公開している交通事故データ ( オープンデータインデックス - 交通事故情報 ) をもとに,交通事故の発生確率が最も低いルートを検索するアプリ.過去に事故が発生した地点が地図に表示されており,そのような地点をなるべく避けて歩くルートを提案する.GeoHash (空間探索アルゴリズム) を用いることで高速な検索を実現した.

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自分は 日本の LOD を取り巻く環境はまだまだ未開拓だと感じており,その現状にインパクトを与えられるような LOD の活用事例を作りたいという思いから,今回 PASS を開発した.特に以下のような部分に課題があると感じている.

1. データの不足, 一貫性の欠如
国や地方自治体の多くは,データの利活用に対するモチベーションが低い.有用なデータを沢山持っているにもかかわらず持ち腐れさせていたり,公開されているものも自治体ごとでフォーマットがばらばらで使いにくかったりする.最近はビックデータと騒がれおり,どの企業も大量にあるデータを有効活用することに必死になっているが,国や自治体に関しては時代の潮流に乗れていない感が否めない.

今年の DEIM で,国や地方自治体が公開している PDF などから表を抽出する といった研究発表があったが,課題感は分かるが本質的な解決には至っていないと思うし,そもそも各自治体が協力してプラットフォームを作っていくべきものだと思う.有効活用すると社会に役立つデータは間違いなく多い.

2. データを可視化するだけですごい!となる風潮
このようにデータの活用自体が難しい状況であるから,データを体系的にまとめて可視化するだけで,すごい!ってなる.地域のごみ分別アプリとか,AED マップとか.多くの企業は API といういわばインフラを提供してくれており,自分たちはそれらを組み合わせて面白いものや役立つものを作ることができるが,LOD はまだその「インフラ」を提供できておらず,1 つ下の階層にとどまっている.マズローの欲求と同様にある階層が満たされて初めて上の階層にいけると思うので,面白いサービスが続々出てくるようになるためにも LOD がもっと利活用できる環境が整ってほしい.現状はまだまだ「インフラ整備」の段階である.

3. 国が力を入れている点のズレ
経産省は去年,Knowledge Connector という,LOD を用いたビジネス支援のページをリリースした.政府も LOD に力を入れ始めているのは伝わってくるが,まだ時期尚早な感が否めない.このようなものを時間かけて作るより,データの拡充やフォーマット化に先に取り組むべきだと思う.

このような状況下であるので,従来の帰納的なアプローチでは LOD でインパクトを与えるものを作るのは難しい.だから今回は,「こういう活用方法があるのだからデータを整備しよう」と感じてもらえることを目指して,演繹的な切り口でアイデアを考えた.

今回意識したことは,「ただの可視化にならないこと」.交通事故の発生地を可視化するだけではなく,手段としての利用を試みた.とはいっても今は鳥取県でしか使うことのできない何とも残念なアプリなので,LOD の今後に期待したいと思う.

iOS データ共有アプリ ベスト3

最近,様々な方法でデータ共有をおこなうアプリがあるので,その方法がユニークなものをまとめてみた.この手のアプリでプラットフォーム化しているものってまだないように思うが,LINE や Facebook だと相手に聞かなくともお互いのスマホに間違いなく入っているし,少々手間でもそっちで共有してしまうのは仕方ない気もする…

1. zeetle

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「ジー」という音を聞かせることで,データ通信をおこなうことができる.可聴域だが,周囲の音と干渉しないのだろうか…

Zeetle - 連絡先を一括送信 写真もクーポンもを App Store で

2. Shoot

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QR コードを読み取ってもらうことで,データの共有をおこなうことができる.zeetle よりも少し手間がかかるが,QR コードなので識別精度は高い.

BitTorrent Shoot on the App Store

3. Send Anywhere

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6 桁の数字をキーとしてデータの共有をおこなうことができる.Shoot の上位互換ぽい.

Send Anywhere (File Transfer) on the Mac App Store

【Mashup Awards 11】2 年連続 2 位で終わった

2 年前の MA9 の時に,こんなことを書いていた.

今回の結果に決して満足している訳ではないけれど,周りの多くがスゴい社会人や企業だったことを考えると,2nd Stageに進めたことだけでも少し自信になった.
来年から社会人だが,仕事の合間を縫ってまたおもしろいアプリを考えて応募し続けたい.そして次こそは決勝にいきたい.

MA9(Mashup Award 9) 2nd Stage参加してきた - Hello World!!

この頃は,決勝なんてはるか遠くの世界だった.そして当時から成長したのだろうか,去年は INTEMPO,今年は CliMix で決勝にコマを進め,有言実行を果たすことができた.
が,今度はなかなか優勝することができない.去年に続き今年も 2 位で,何が足りないのか,そもそも何かが足りないのかどうかも分からない.

日本で 1 番高い山の名前はみんな言えるが,2 番目に高い山の名前を言える人は少ない.それくらい 1 位と 2 位の間には壁があるように感じており,だから自分の 1 位へのこだわりも強い.CliMix でその 1 位をとれる自信を持っていたので,またもや悔しさだけが残る結果となった.

CliMix

8 月の Music Hack Day 2015 で開発した,漫画と音楽をマッシュアップした作品.早々と 2nd Stage への進出を決め,さらにブラッシュアップして決勝に挑んだ.

決勝はもえちゃんの神プレゼンですごいウケてたし,一方 Twitter でも,コルクの佐渡島さんをはじめ多くの方に言及していただいた.著作権の関係で個人ではリリースできないアプリなので,どこかとタッグしてそのあたりの問題を解消できるといいなあ.


Attention

もう 1 つ Attention という,特定の周波数のボリュームを操作できる通話アプリも開発し,こちらはテーマ賞を受賞した.CoreAudio をかなり低レイヤまでいじったりしたので,また Qiita にでもまとめようと思う.Twilio もだいたいマスターした.

興味深かった作品 6 つ

最後に,2nd Stage と Final Stage に参加して,個人的におもしろいと思った作品を書いてみる.これらの作品は Mashup Awards の 3 つの審査基準である,アイデア,デザイン,完成度が全て高かったが,その中でもどれが特に高いと思ったのかも併記する.

① Openness-adjustable Headset (アイデア)

デバイスとしてはただヘッドセットのフタを開閉するだけなのだが,それを利用したアイデアの膨らませ具合がさすが栗原先生だと思った.

② PINCH (アイデア)
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洗濯バサミをハックした作品.目の付け所がいいなあと思った.バリバリ IoT なものより,このようなアナログなものに少し IoT の要素を加えたようなものの方が,スイッチングコストも小さいし,実用的な感じがする.

③ ビビビコントローラー (デザイン)

イデア自体はありがちなものだが,とにかく見せ方がうまいと思った.電博の人が関わっている作品は動画などのクオリティが格段に高いので,見ていてかなり勉強になる.

④ しゃべる○○君 (デザイン)

これもよくあるモノの擬人化と言ってしまえばそれまでだが,とにかくプロジェクションマッピングがすごかった.

⑤ 参式電子弓 (完成度)

安本先生の優勝作品.APIマッシュアップはしていないが,完成度は非常に高く,ハード (弓) へのこだわりもかなり感じられる美品.

⑥ FuuFuu (完成度)

吐息のシェアという,何ともシュールな作品.アイデアも結構好きだが,音源から吐息部分の特徴量だけ抽出したり,その強弱でデバイスから吐息 (風) を出したりと,技術的な興味深さが感じられた.

INTEMPO リリースした

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「曲と歩けば駅に着く」アプリ,INTEMPO をリリースした.

去年の MA で優秀賞を受賞 して以来 1 年近くたち,ようやくリリースにたどり着いた.

リリースまでに山場はいくつもあった.まず,去年の MA で開発した際は 駅すぱあとの API を利用して路線検索をしていたのだが,MA 期間終了後は有償となりとても個人サービスで払える金額ではなかった.そんなわけで泣く泣く路線検索を使わないアプリにシフトして開発を始めたのだが,やはり UX を考えると MA の時の方が抜群によいため,API を使わずに何とか同機能を提供できる方法を検討し直した.その結果,1 度白紙に戻ってしまった (デザイナーのほそみんには本当に申し訳なかった…) ものの,何とかMA の時の機能を劣らせることなく提供できる方法を見出すことができ,その方向で再び開発を始めた.MA の時だけ無償で利用できても実際に世に出す時にその API を利用できなければ本当に意味ないし,いいプロダクトでも人目に触れることなく終わってしまうと思うので,そのあたりは MA としてもっと支援してほしいように思う.

そして開発も終わり,8 月に最初の申請をしたのだが,そこから 6 回も Apple にリジェクトくらった.アプリの動作に関する追加説明を求められたり,スクショの素材の著作権まわりで注意されたり.そしてそのあたり修正しているうちに iOS9 がリリースされていろいろ動作おかしくなったり… と途中で心折れそうになった笑 1 回リジェクトくらうと次のレビューまで 1 週間程度待たなければならないので,本当に気の長い作業である.基本的に Apple は 1 箇所ずつしかリジェクト理由あげてくれないので,1 度に全部言ってくれればいいのにといつも思う.

そんなこんなで時間はかかったが,その分喜びも大きい.今年はハッカソンなどで作って終わりではなく,きちんと世に出すことを目標にしてやっていたので,このような形できちんとリリースすることができてうれしい.とはいっても今からがスタートなので,今後も改善しつつよりよいものにしていきたい.

リリースして数日経ったが,Twitter での評判もなかなかいい感じ.



また,Swift も書き始めた頃と比べるとかなりスキルは向上して,だいたい何でもサクッと作れるくらいにはなった.以下の 2 つの記事は今回得たノウハウ.