2016 年を振り返って

あっという間に年末になってしまったので,今年も 1 年を振り返ってみる.振り返り記事は年に 1 度の定点観測になっていて,年々の心境の変化などが分かり,自分を見つめ直すいい機会である.

雑感

今年は人生で間違いなく 1 番はやかった.脳が取り込む情報量が少ないと時間が過ぎるのがはやく感じるらしい.会社自体は激動の 1 年だったたが,確かに日々を省みると,会社行って開発して帰って… の単調な生活の繰り返しだったように思う.今思えば,大学・大学院時代や前職時代は本業を最小限に抑えつつ,むしろプライベートでいろいろやるのが本業みたいなノリで生きていたので,周囲からの刺激が多く日々長く感じていたのだろう.今年のように 1 つのことにフォーカスした生活は初めてかもしれない.仕事に追われる毎日は視野が狭くなりがちで考えものではあるが,人生においてようやく本業に本気になれる環境に身を置けたということは幸せなことだと思う.

会社はといえば,ちょうど 1 年頃前に共同創業し 1 年が経った.去年の今頃はまだオフィスすらなかったが,この 1 年で 2 回移転し,メンバーも 20 人を超えた.日々過ごしているとあまり実感しないが,改めて振り返ってみると,この 1 年で結構遠いとこまできたんだなあとしみじみする.金融という世界が全く未知だった 1 年前が遠い昔のようである.

会社のエンジニアは同世代のメンバーが多いが,自分より優秀な人ばかり.前職と比べても明らかに能力が高い人がそろっていて自信を失う程ではあるが,一緒に働きたかったメンバーと働けたりしてとても贅沢な環境に身を置けているように思う.自分はスキル的にも精神年齢的にもまだまだだと思うので,追い越せるように努力し続けたい.

会社ではフロントエンドをほぼ 1 人で実装している.フルスクラッチなためモダンな環境も導入しやすく,今のところ,設計・実装を含め秩序立った実装ができていて楽しい.ただ,1 人で実装していると,外部からのレビューが少ないため,もっといいやり方があるのになかなか気付けないといったことが起こりがちで,自分のスキルレベルがサービスのクオリティの上限となってしまうリスクがあると感じている.なので,仕事に余裕がある時期には積極的に勉強会に行ってインプットするようにしている.

前職に新卒入社する際,就活の際からフロントを志望していたものの 180 度真逆の R&D の部署に配属され,そこで 1 年半過ごすこととなった.そして今ようやく仕事でフロントを書いており,人生の軌道修正がされつつある.やはり自分はサービス志向の人間で,ユーザが直接目にするフロントやアプリの開発がとても楽しいと感じる.前職の R&D の部署はサイエンス至上主義な感じで,サービス開発を軽んじている人が多かったが,自分でものを創り出せなければ本質的には企画と何も変わらないと思っている.そういう意味でも前職を早い段階でやめてよかったし,ずっと居続けていたらどうなっていたのかと思うと恐ろしい.ただ,サービスのコアな部分や優位性となる部分は,やはりサイエンスを用いた知的処理になってくるので,前職の経験を活かしつつハイブリッドに取り組んでいきたい.

プライベートでは,今年はあまり開発できなかった.前職時代は会社がゆるく,土日は力がみなぎっていてバリバリ開発していたが,今年は仕事疲れからなのか,単に歳をとったからなのかは分からないが,日曜遅くまで寝てだらだら過ごすことが多かった.体力のなさを痛感しており,最近は週 1 で皇居を走っている.何はともあれ仕事だけでは消耗してしまってイキイキできないので,来年はまた日曜とかにプライベートでいろいろ作ったりしていきたい.ネタは結構たまっている.

社会人 3 年目になって,学生時代の友達が起業したり海外で働き始めたりと,続々と次のキャリアに足を踏み入れ始めた.自分ももう若いとは言えない歳になってきているので,目先のことを精一杯頑張りつつも,将来をしっかり見据えて来年 1 年を過ごしていきたい.

作ったアプリ

上でも書いたように,今年はあまり開発ができず,過去にリリースしたアプリのアップデートだったり,開発途中のアプリをリリースまで持っていったりといったものが多かった.

INTEMPO

日本アーティスト協会 と提携し,楽曲を提供してもらった.

inShade

フジテレビに取り上げられ,App Store の人気検索に出てきたりと,結構反響があった.

Hz

Mashup Awards 2016 の決勝にいった.

よかった本

今年も通勤時間でいろんな本を読んだ.数えてみたら全部で 100 冊くらい.10 冊に 1 冊くらい,読んでよかったって感じる本に出会えてる気がする.以下は今年読んでよかった本トップ 5.

暗号解読〈上〉 (新潮文庫)

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暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3)

暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3)

古代の暗号 (カエサル暗号) から始まり,エニグマ,量子暗号と,どういった経緯でどのように暗号が発展してきたのかを追ったノンフィクション小説.当時は絶対破られないと思われていた暗号が突破され,それを受けて天才数学者がさらに上をいく暗号を発明するがそれも破られ… とどんどん発展していく様子は,まさにドラマである.イミテーション・ゲームでもあったが,第 2 次世界大戦ではエニグマの解読が勝利の鍵を握っており,どのように糸口を見出し,どのように解読されていったのかが詳しく解説されていて,血の滲む努力が伝わってきた.上下巻あったがおもしろくてあっという間に読み終えてしまった.さすがサイモン・シンといった感じ.
フューチャー・オブ・マインド―心の未来を科学する

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脳や心に関して,サイエンスがどこまで進歩しているのかが,最新の技術や研究に基づいて書かれており,ノンフィクションだが SF を読んでいるような気分になる.テレパシーや脳のリバースエンジニアリングなど,まるで夢の世界のようなものも,あながち夢とは言い切れないのだなあと感じた.自分が生きているうちにどこまで進歩するのか,非常に楽しみである.ミチオ・カクの本はどれもボリュームがあるが,その分読みごたえも抜群である.
さよなら、インタフェース -脱「画面」の思考法

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  • 作者: ゴールデン・クリシュナ,武舎るみ,武舎広幸
  • 出版社/メーカー: ビー・エヌ・エヌ新社
  • 発売日: 2015/09/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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一時話題となった No UI について書かれた本.UI を画面ありきで考えるべきではないという著者の考えには同感で,あくまで手段の 1 つとしてとらえるべきであると思っている.画面だけにとらわれていては決して Pokémon GO みたいなアイデアは出てこないと思うし,自分もアプリのアイデアを考える時は,スマホをそもそも画面を見るものではなく,何かの目的の手段として利用できないかを考えるようにしている.
ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験 (光文社新書)

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様々なキャリアを持った 963 人の宇宙飛行士への応募の中から選ばれた候補者 10 人の,最終試験に密着したドキュメンタリー.宇宙での生活と同じく密室空間に 1 週間以上閉じ込められ,多くの負荷が与えられ続ける環境の中で,彼らが様々な試験をおこなっていく様子がリアルに伝えられている.リーダーシップはもちろん,ストレス耐性やチームワークなど,宇宙という一歩間違えれば死んでしまうような環境では,どれか 1 つでも欠けていれば致命傷になりかねない.特殊な能力が求められているわけではないものの,全てにおいて 60 点以上とることの難しさを感じ,同時にそれらは社会人としての能力を測るものさしと共通であるように感じた.
住まいの解剖図鑑

住まいの解剖図鑑

住宅設計に関して,基本的な設計原理を分かりやすく解説した本.普段当たり前のように過ごしている環境でも,間取りや配置の 1 つ 1 つに意味があることを知り,建築に対する視点が変わった.将来 IT 技術を用いて建築に関する仕事に携わりたいなあ.