サービス開発における「見切り発車」の必要性

自分はアプリや Web サービスを世に出している方だと思う.「アイデアをカタチにできるのがすごいね」とよく言われるが,その根源を探ると,「見切り発車」力のおかげなように感じる.

「見切り発車」というとネガティブにとらえられがちであるが,その一方で,個人的には以下の 2 つの強みがあるように思う.

1. 「100% を目指そう」から「落とし所を見つけよう」という発想になる

サービス企画をする際,アイデア → 実現可能性 という流れで考えるのが一般的である.そして,突拍子もないアイデアである程実現可能性は低く,ここの段階で 100% を目指してしまうと,やっぱ厳しいか… と踏みとどまってしまいがちである.

そうではなく,おもしろいアイデアを思いついた段階で,1度作り始めてしまう.すると,やはり途中で実現が難しそうなところが出てくるが,その時には課題がより明確になっていて,かつ「もうここまで作ってしまったのだがら何かしらアウトプット出さなければもったいない」という気持ちが強く働くため,「落とし所を見つける」方向に発想を広げやすくなる.

最初から「ゴールまでの道を完璧に思い描く」場合,1つでも壁が見つかった場合,それが「できない理由」となってどうしても思考停止してしまうので,やりながら,これは愚直にやると無理だけどこれなら実現できそう,というように軌道修正し,柔軟に「ゴールまでの道を作っていく」のが重要だと思う.

2. 手を動かしてみることでモチベがあがる

おもしろいアイデアが思いついた場合,その時が 1 番ワクワクしている状態なので,見切り発車でよいので手を動かし始めて 1% でも前に進めることで,高いモチベを維持できるように思う.体感として 0% と 1% は全然違い,ここでアイデアだけ出してその時に何もやらないと,熱はあっという間に冷めてしまう.


以前少し反響があった,スマホを胸にはさんでカップ数をはかるアプリ ChiChi も,ざっくりと道筋はあったものの最初から実現可能性が 100% だと確信した上で作り始めたわけではない.作り始めてから iOS でできること,できないことが明確になり,それを踏まえてロジックを何度も修正したし,Apple の審査に何度出しても通らなかった時も「仕方ないからその経緯をアウトプットにする」という方向にシフトすることで,何とか落とし所を見つけることができた.結果としてリリースできず,当初の目的は実現できなかったが,最初から「実装が厳しそう」「Apple の審査通らなそう」と思って何もしていなかったら,何の反響も得ることなしに終わっていただろう.

これはサービス開発だけにあてはまることではない.例えば今自分はビットコインを結構やっているが,はじめからゴールが見えている人なんかいないわけで,実際にやってみて,様子を見ながら柔軟に対応することで結果として利益を得ることができている.人生に関しても同じ.自分は人生でやりたいことがあまりに多すぎて,「やるかどうか」を考えている時間がもったいないので,「見切り発車」でどんどんやっていきたいと思う.