学生生活へのモチベーション

この1年で,学生生活に対する考え方が少し変わった.

夏頃から,学生のうちにいろいろやってみたいと思うようになり,日々の過ごし方が結構変わったように思う.

今となれば,なぜ大学時代もっといろんなことやってこなかったんだろうと少し後悔している.ただサークル活動に明け暮れ,何も考えずに毎日を過ごしていた.

そもそも大学入試の時点で,'なぜ京大に行きたいのか'という明確な理由が皆無だった.高校が進学校だったこともあり,周りが東大,京大ばかり受験しているのでただそれに乗っかったというのが正直なところであった.(いい大学に行けばいいところに就職できるだろう,という非常に浅はかな考えくらいしかなかった)

そんな感じだから,大学に入学したところで急にやりたいことが見つかるわけもなく,高校3年間勉強漬けだった反動もあり,ただ漠然とその時楽しいことをして過ごしているだけであった.しかしそれを自分の中で全否定している訳ではなく,そのようなモラトリアムも必要だったのではないかと思っている.単純にそれはそれで楽しかったし,そのような時期があったからこそ今それがバネになっている.

目的もなしに入学した学生が,やりたいことが見つからずに苦しんでいる,という話が一時期よく出ており,当時はふーんって思っていたが,今考えると自分もその1人だったように思う.特に勉強しかしてこなかった進学校出身者にそのような人が多いのではないだろうか.京大の「自由」の学風は,何か強い目的がある人には本当にいい環境だが,そうでもない人はダメになっていく環境である,と今になって改めて感じる.

しかし大学院に入学してから,学生生活もあとたった2年ということを強く意識するようになり,今しかできないことも多いのではないかと思うようになった.社会人になるともうこんな自由に時間を使えることはほとんどない.

それを意識し始めた時点で,あと2年学生生活が残っていて幸いだった.普通の人は就職している学年であり,もし僕も大学卒業してそのまま就職していたら,後になって学生時代を後悔していただろうと思う.気付くのに時間がかかりすぎた.

僕が夏に参加したインターンでは,1人だけ高校生がいたが,将来に対するビジョンがものすごく明確で,正直僕よりもしっかりと自分を持っていた.また,最近は大学1,2年生で起業しているような学生も多い.自分が彼らの年代の時どのように日々を過ごしていたかと思うと,少し恥ずかしくなってくる.

ただ今年は,周りの環境に恵まれ,幸い研究も他の人より自由度がきくこともあり,特に夏以降は好きなことに時間を使うことができた.最近は,やりたいと思ったらすぐに行動するようになった.

以前グリーの田中社長の講演を聞いて非常に心に残った.

あるときテレビを見ていると,ある東大教授がインタビューに答えていた.80歳ぐらいだろうか.その老齢の教授によると,ゼミにくる学生のほとんどが将来の不安を訴えてくる.この教授は「本当にこいつらはバカだな」と思うのだという.同教授によると,彼の今後の人生は簡単に想像がつく.同じような白い飯を食べ,同じような道を通って職場と家を行き来する.同じことを繰り返して,あとは死ぬだけ.「おれの人生はつまらん.それに比べて若者の今後は予測がつかない.これほどおもしろいことがあるだろうか」.80代の人がそう情熱的に語っているのを見て,将来に不安を持っていた私は衝撃を受けた.ものの見方とはそういうものなのか.不安のない人生は面白みがない.反対に可能性があるということは,何が起こるかわからないから不安になる.不安になるということは,可能性がある証拠.こんないいことはないんだ,と捉えようと思った.

さて,学生生活もあと1年ちょっと.今からわくわくしている.